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ガーンディーの非暴力と性:「グローバルな遺産」言説の系譜学的分析

  • 研究会

以下の要領で、2017年度第4回TINDAS研究会(歴史班)が開催されますので、ご案内いたします。

日時 2018年1月22日(月)17:30-19:00
場所 東京大学駒場キャンパス 14号館4階講義室
報告者 間永次郎 (日本学術振興会特別研究員PD/東京大学大学院総合文化研究科・文化人類学研究室)
タイトル ガーンディーの非暴力と性:「グローバルな遺産」言説の系譜学的分析
要旨
 歴史学者のデイヴィッド・ハーディマン(2004)やシーン・スカルマー(2011)の研究に代表されるように、これまでガーンディー思想が後世に残した「グローバルな遺産(レガシー)」は専らガーンディーの非暴力思想に限定されて理解されてきた。これに対して、本発表では、従来のガーンディー思想の「グローバルな遺産」言説の中で、ガーンディーの性欲統制の実験である「ブラフマチャリヤ(一般的に性的禁欲を意味する)」の存在が見落とされてきたことを指摘する。ガーンディーのブラフマチャリヤ思想は元来サッティヤーグラハ(非暴力抵抗)思想の根幹を形成する基礎原理の一つであった。しかしながら、ガーンディー没後にインド国外で非暴力思想を継承した著名な運動家のほとんどが、ブラフマチャリヤ思想の意義を語ることがなかった。
 本発表では、第一に、なぜガーンディー没後の世界において、ガーンディーのブラフマチャリヤ思想がほとんど伝搬することがなかったのかを論じる。その際に、半裸姿で糸紡ぎ車を回すガーンディーの姿が、近代社会に相容れない「禁欲主義者」としてのガーンディーのイメージを国内外で醸成してきたことを指摘する。第二に、ガーンディーのブラフマチャリヤ思想の意味を、ガーンディーの母語であるグジャラーティー語の原文史料を用いて分析していく。これにより、確かにガーンディーのブラフマチャリヤ思想は、ある時期まで禁欲主義的性質を帯びていたが、第一次非協力運動後に、近代タントリズムや西洋性科学等の影響下で、その思想の意味が少なからず変化していたことを明らかにする。1920年代中盤以降、ガーンディーはブラフマチャリヤの実験によって、自身の性的欲望を「抑圧」あるいは「排除」するのでなく、それを独自の身体統制の実験によって、非暴力ナショナリズムを推進するための原動力へと「変容」させようとしていた。第三に、これまで研究者内外で十分に認知されてこなかったこの「変容」の実験によって生み出されたガーンディーの後期非暴力思想が持つ現代的意義について考察する。

 

併せまして、下記論文もご参照下さい。

Hazama, Eijiro, “The Paradox of Gandhian Secularism: The Metaphysical Implication behind Gandhi’s ‘Individualisation of Religion’,” Modern Asian Studies, Volume 51 Issue 5, 2017, pp.1394-1438
討論者 長谷川まゆ帆(東京大学総合文化研究科・教授)
言語 日本語
連絡先 関戸一平(東京大学総合文化研究科) ippeman18[at]yahoo.co.jp
無料でどなたでもご参加いただけます。